2012年8月31日金曜日

ヒッチハイク。





僕は行き先を書いたスケッチブックを持って
親指を立てる。

名前も年齢もわからないどこかの誰かの車に乗せてもらおうとしている。

知らない人の車に乗るというのはリスクを伴う。
しかし乗せる方にはもっと大きなリスクがある。

そのヒッチハイクする側の小さなリスクのために、
ヒッチハイクをする人口が減っていると聞く。
しかし大きなリスクを裏腹に、たくさんの方が乗せてくれる。
トラックの運転手さん、家族連れ、カップル、学生、
営業帰りのサラリーマン、定年退職後の人など千差万別だ。

皆さんとても親切で、乗せてくださるだけでなく、
ご飯をご馳走してくださったりすることも少なくない。

どうやって恩返ししたら良いのか。
自分が車に乗っていたら、
乗せてあげるのはもちろんなのだけれど、
お礼に何かを渡そうとしても、
受け取ってもらえないことが多い。

他に僕にできることは何か。
清潔な格好で臨む。
乗せてもらう前に、きちんと名前を伝える。

乗せてもらったら、運転手さんに合わせて、
エンターテイナーになったり、話の聞き役になる。

そして降ろしてもらったら
丁寧にお礼を述べて、見えなくなるまでお見送りする。

乗せて下さった方に
「この子を乗せてあげてよかった」
と、喜んでもらえるようでありたい。

乗車中の話もとってもおもしろい。
「26歳の時、何をしていましたか?」と質問する。
するとその人の、人生の哲学が飛び出す。

初対面で、何の利害関係のない、そして
また会えるかわからないという一期一会の関係で
「やりたいことをやった方がいいよ。」
「正直が一番。」
「きちんと親孝行しなよ。」
と語ってくれる。
「ファームステイをしたい」と僕がちょっと相談したら、
乗せてくださった方がカナダのファームステイ先を
紹介してくれて、実際に滞在させてもらったりもした。

お互いのスベらない話や、
下ネタ合戦みたいなバカ話を延々とする時もあるけれど、
不思議とヒッチハイクで出会う人たちから
その時の自分にぴったりの情報や、
アドバイスをいただく事が多い。

ヒッチハイクはただ「お金をかけずに移動する」ということではない。
お金を払っても得ることのできない驚きと喜び、偶然と呼ぶにはあまりにも運命的すぎる出会いがあるのだ。

さぁ次はどこに出かけようか。
どんな人に出会えるだろうか。