2015年2月14日土曜日

所沢市「小中学校エアコン設置」を問う住民投票取材レポートと報道まとめ


朝日新聞デジタルより http://www.asahi.com/articles/DA3S11576711.html



2月15日に埼玉県所沢市で「小中学校エアコンの設置を問う」住民投票が行われる。

「そんなことについて住民投票にかけるなんて」という声も時々聞こえてくるが、重要性はそこに生きる住民が決めるのだ。外からその重要性を測ることはできない。実際に所沢市で「住民投票にかけるべし」として集められた厳格な法定署名が全有権者の約3%にあたる8430筆にのぼったことは地元の人に一定の関心があったことを示している。

どうして住民投票が行われるようになったのだろうか。

エアコンをめぐるこれまでの経緯も書かれた住民投票の請求要旨に概略が記されている。

2005年北関東防衛局より、所沢市に対し、下記の教育環境改善を図るため防音校舎改修事業の際は除湿冷房工事(以下冷房工事)も行うよう指導があった。2006年制定の防音校舎の整備方針に沿い、2009年度には宮前小学校の冷房工事が終了し、翌2010年度は隣接する狭山ケ丘中学校の設計が終了した。2012年度は同校の工事予定であったが、2011年就任の市長が2012年1月に「地球温暖化、財政状況」を勘案し工事は中止となった。本区域は防衛大臣が定める「自衛隊の航空機の離陸・着陸により生ずる音響に起因する障害が激しい区域」で、国の環境基準が達成されていない。開校以来、航空機騒音中の学習を強いられてきた生徒・卒業生、改善を切望してきた保護者・地域住民にとって本工事は長年の願いであった。

所沢市議会定例会において、2012年6月「教育環境の改善を求める決議」が賛成多数で可決され、同年7月「所沢私立狭山ケ丘中学校の復温工事(暖房設備工事)・除湿工事(冷房設備の追加工事)が定められた整備方針に基づき、2013年度から復温・除湿工事を実施することを願う件」の請願書が賛成多数で採択されている。

2012年7月提出の請願書署名16,005名、2013年10月市長あて署名14,463名が冷房工事実施を強く求めている。2005年度から、計画的に進められてきた本工事を一方的に中止し、多数市民の要望後も方針を戻さないことは、市長の掲げる「教育日本一、子どもを大切にするマチ所沢」とも相反する。
(「防音校舎の除湿工事の計画的な実施に関する住民投票条例」請求要旨を元に筆者が一部加筆して作成)元データは所沢市HPより

このような請求要旨のもと「住民投票条例」が議会にかけられ、一部の修正を経て可決され、住民投票が行われることになったのである。


校舎上空を飛ぶ自衛隊の飛行機
私はまず設置の計画までされていたが、市長の方針変更により設置が中止された所沢市立狭山ケ丘中を訪ねた。中学校に向かう途中から、飛行機の轟音が響いてきた。学校に到着したのは午後16時過ぎ、なんと5分に1機くらいのペースですぐ上空を飛行機が飛んでいく。この飛行機の量は時間帯によるものなのか。飛行機の轟音はある程度覚悟して行ったのだが、その頻度に驚いた。「英語のリスニングのテストを中断しなければならない」という記事を読んだのだが、それを実感する。なるほど、これでは到底聞き取りや通常の授業ができるような環境ではない。窓が開けられないほどの騒音なので、エアコンがなければ夏場には児童生徒が厳しい想いをするのは容易に想像がつく。

賛成派、反対派の主な意見



賛成派と反対派の意見、現状認識の食い違いが多く見られる。どちらを信じるのか。所沢市民の見識と将来への価値観が問われている。それにしても、どうしてこのような大きな違いが出るのだろうか。どのような試算に基づいて算出されているのだろうか。両者のチラシを見比べてみるとおもしろい。

クーラー設置の考え方
賛成派
防音校舎という窓を開けられないという特性上、設置すべき。

反対派
原発事故をを経験した私たちは、クーラーを設置せずに温暖化に抗するべき。

予算
賛成派
20億円(10年リース、1年あたり2億円)

反対派
78億円(冷暖房工事の試算)(うち市費は30億円)

クーラー1日あたりの予算
賛成派
1日あたり10万円

反対派
1日あたり48万円

教室内の30度を超える日数
賛成派
33日(2012年7月〜10月13時付近)

反対派
10日(24時間の平均値)



気になる問題

・賛成派は、冷房設置反対派である市長宛に公開質問状を送付したのだが、きちんとした回答は得られていない。

・住民投票条例の7条には「市長は中立性の保持に留意しなければならない。」と記されているが、この条例を無視して市長はチラシを配ったり、動画を配信したり反対運動を行っている。

・市は1/3以上の賛否があれば、その結果を斟酌するとしているが、そもそも2011年に行われた所沢市長選の投票率は34.68%であり、選ばれた市長の得票率は有権者全体の14%でしかなかった。それなのに、このようなハードルを課しているというのは問題である。投票率にかかわらず、賛否の多い方の意見の意向に沿った政策を進めるべきである。






1月18日には小手指公民館分館 音楽ホールにて所沢市の教育環境を考える会主催の「所沢住民投票成功への市民集会」が行われ、弁護士の小林善亮さんによる「住民投票とは」という話の後「住民投票条例制定の経過」「狭山ケ丘中学校の騒音実態」などがレポートされた。エアコン設置賛成派の資料なども配布され、市民がエアコン設置について改めて考えるきっかけになった。





連日、複数の市民グループが所沢市内の駅前など街頭に立ち住民投票のPRをおこなっているようである。この日は寒空の下、航空公園駅前にて「住民投票を成功させる会」が15人ほどでチラシを配るなどしていた。



1時間超の街頭アピールの後、快くいろいろなお話を聞かせてくださった。(左から品川さん、市川さん、宇野さん)



私は基本的にエアコンの設置については反対である。しかし、所沢のこの地域の場合には自衛隊機の騒音があり、窓を開けることができず扇風機を回しても空気が滞留するだけだという。だとすると話は別だ。子どもの学習権を自衛隊の騒音で犯してはならない。エアコンを設置することで子どもの学習権が守られるのならば、もし僕がこの住民投票に参加できるとするならば「賛成」に投じるかもしれない。


何が正しいのか。何を信じたらいいのか。
答えはそう簡単には見つからない。でも投票日はもう目前だ。
所沢の未来とあなたの未来はこの投票にかかっている。
選挙のように誰かに任せればいいわけではない。
投票権を持つあなたは「直接政策を決められる」主人公なのだ。
あぁ羨ましい。


投票日
2月15日午前7時〜午後8時
※整理券がなくても投票できます。

期日前投票もできます。
2月14日8:30〜20:00
市役所1階・市民ギャラリー



報道まとめ

所沢市ホームページ 住民投票の実施について https://www.city.tokorozawa.saitama.jp/kurashi/shiminsanka/senkyo/jyumintohyou/index.html

しばけんの100%ブログ
所沢市「住民投票にそぐわない」という発言は「市長にそぐわない」



中日新聞
エアコン論争 自治の営み鍛える一歩:社説: http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2015021002000120.html

東京新聞
エアコン論戦が熱い 所沢学校に設置問う住民投票:社会(TOKYO Web) http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015020702000251.html

埼玉新聞
所沢エアコン住民投票、8日告示15日開票 設置の是非問う http://www.saitama-np.co.jp/news/2015/02/07/01.html

朝日新聞
「教室にエアコン」住民投票 埼玉・所沢、きょう告示http://www.asahi.com/articles/ASH2F5H62H2FUTIL02H.html

学校のエアコン設置問う住民投票 所沢市で15日 市長「快適さから転換を」、住民「夏場の学習環境を」 - 産経ニュース http://www.sankei.com/politics/news/150213/plt1502130064-n1.html @Sankei_newsさんから

毎日新聞
所沢市:防音校舎エアコン設置賛否 住民投票告示、15日投開票 http://mainichi.jp/edu/news/20150210ddlk11010208000c.html

琉球新報<金口木舌>住民投票で決めること 沖縄の新聞、地域のニュース http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-238770-storytopic-12.html

BLOGOS
小中学校にエアコンを設置すべきかーー所沢で実施される「住民投票」ってどんな制度?  http://blogos.com/outline/105560/