2015年3月4日水曜日

石垣観光




沖縄の某新聞社の方二人に釣りに連れて行ってもらった。
迎えに来てもらって、車で走ること5分。薄いブルーがキラキラ光る海を見下ろしながら、橋を渡って釣りスポットに到着。海の中を覗くと青い小さな熱帯魚が泳いでいる。近づいても彼らは逃げる様子はない。



二人は何匹か釣っていたが、小さかったので、すぐに逃がしてあげていた。
僕は、何度か魚らしき手応えは感じたのだが、ただ、海の底の石に引っかかってたのではないかとも思えるくらいだった。でも絶対に釣りたかった。連れて来てくれた二人は僕が魚を釣って良い思い出を作って欲しいはずだ。そして僕は絶対に釣りたい。

こういう時、僕は「スターモード」に入る。マリオのスターをとったときのような無敵状態。己の集中力を研ぎ澄まして、祈りとも念とも言えるパワーを込める。

初心者がそう簡単に釣れるわけがない。定石はそうなんだが「根拠のない自信」だけには自信があった。そしてなんと釣れてしまったのだ。しかも「もう帰ろうか」と二人が僕に声をかけようと近づいてきたちょうどその時だった。

細い釣糸が切れてしまうのではないかと思う強い引き。僕は魚との駆け引きなんてわからない。ただ思いっきりリールを巻いた。



15センチ強くらいのアミメフエダイという魚。大きくはないが食べるには十分なサイズだ。3人のうち、僕だけ釣れたという申し訳なさも感じないでもなかったが、ひたすら嬉しかった。僕は魚をさばけないので、さばいてもらって刺身でいただいた。身がプリプリで美味。本来は食べないという皮まで味わって食べた。



夜は居酒屋で沖縄料理をお腹いっぱいご馳走してくれた。泡盛も会話の内容を覚えてないくらい飲ませてくれた。

「出世払い」だそうだ。出世には興味はないが、恩返しはしたい。本を書きたい。「本ができたらそれを送らせていただきます。」と伝えた。今年の目標をまた思い出した。


次の日は、雨の予定が晴れ。この日は漁師さんに海に連れて行ってもらう予定だ。

この漁師さんに会えたのもまた偶然だ。その時の話を少ししよう。先週、野宿できる場所を探し求めて石垣の街をさまよっていた。バックパックにはパソコン、着替え、新聞、与那国の資料などがつまっていて、長く歩いていると腰ベルトで青あざができるし、肩紐が食い込んで痛い。

ふと道の脇にあった木でできている良い感じのベンチを発見して、お腹もへってきたので、そこに座って、先ほどスーパーで買った沖縄で言う「てんぷら」という名のフライをつまみにビールを飲んでいた。すると遠くから誰かこっちに向かって歩いてきて近くまで来るとその色黒で爽やかな青年は少し驚いたような様子で、こっちを見て「ゴミだけ拾っていってくださいね」と言ってベンチの横を通って、家の中に入っていった。僕はその時、初めてこのベンチが公のものではないと気づいて謝り、片付けを始めた。すると家から彼がまた出てきて「よかったらこれを食べてください」とチョコレートを持ってきてくれた。そして「普通の観光客はこんなところまで来ませんよ」と笑った。少し話をすると彼は石垣で漁師をやっている日系ブラジル人。「ここで会ったのも何かの縁だし、もし興味があったら船に乗せてあげるよ」とも言ってもらったので「石垣に戻ったら絶対に連絡します。」と名刺を交換して、お礼を言って、また寝床を探して歩きはじめた。



次の日は、雨の予定が晴れ。この日は漁師さんに海に連れて行ってもらう予定だ。石垣漁業組合の前まで新聞記者の方に送ってもらって、漁師さんはそこまで僕をピックアップしに来てくれた。最初に事務所に行って、水着に着替え、早速船に乗り込んだ。

今日は凪、風もあまり強くなく、雨の心配もなさそうだ。船酔いが心配だったがそれは杞憂だった。もう一人の従業員が僕のことをよく気遣ってくれた。



船長の漁師さんは天井から顔を出し、足で操舵している。「これ食べな」とおにぎりを二つ手渡してくれた。僕は基本的に朝食は取らないので「ありがとうございます。でも結構です。」と丁重にお断りすると「海は疲れるから食べたほうがいいよ」とおっしゃるので、ここは漁師さんのルールに従っていただくことにした。

凪といっても船は大きく揺れ、何かに掴まらなければ海に落ちてしまうほどだ。30分ほど走ると、うなりをあげていたエンジンの音が徐々に静かになり、今日の作業現場に着いたようだった。二人はスイムスーツにテキパキと着替えて、海に潜っていく。


僕は浮き具とシュノーケルを借りて、波に揺られて漂う。満潮に近い時間らしく、水深5mでいつもより深いのだそうだ。透き通った海を見下ろすと南国よろしく原色系の熱帯魚が泳いでいる、とにかくド派手で獲物に狙われてしまうのではないか、とこっちが心配になってしまう。

ダイビングにはまるという人の気持ちが少しわかった気がする…ただ、この時期はまだ海が冷たい。凍えながら美しい魚の群れを追いかけたりしていたのだが、さすがに1時間もすると震えが止まらなくなってきて、二人はまだ仕事を進めているが、船に上がることにした。太陽に照らされた甲板は暖かく日差しも冷え切った体には気持ちよかった。寒さとなれない海での泳ぎで体力も激しく奪われたらしく、横になったら意識がなくなるように眠りについていた。

漁師の二人が船に戻ってきたのはすぐにわかった。甲板のど真ん中で寝ている僕の横で二人がせわしなく作業をしている。邪魔だと思い、端に座りなおすと、船は間もなくエンジンがまたうなりを上げ、港に舵を切って海の上を走りだした。塩水で髪はゴワゴワだし、体はベトベト。でも船の上で海風を受けていると、いつの間にかそんなことは全く気にならなくなっていた。

午後3時頃、漁師さんは僕を石垣の中心地まで送ってくれた。急にお腹がへってきた。朝からおにぎり2個しか食べていないし、海で散々泳いだのもあるだろう。スーパーで安いおにぎりやコロッケなどを買いあさり、お腹に押し込んだ。時間はあまりない。今日は飛行機に乗って帰京するのだ。

空港まではヒッチハイクすると心の中で決めていた。空港に向かって歩き出し、良さげなポイントを探して、ヒッチハイク開始。しかし、なかなか止まってもらえず、一抹の焦りを感じ、ちょうどよくやってきた空港行きのバスに乗ってしまおうかという誘惑にもかられたが、「この島の人は絶対に乗せてくれそう」というこれまた根拠のない自信に従った。そして、少し場所を移してヒッチハイクを再開。すると間もなく一台の車がスーッと寄せて止まってくれた。3人組の男女。買い物かなにか出かけている石垣の島人だった。若い綺麗なノリの良い女性と、お姉さんらしきこちらはツッコミの厳しい面白い女性、男の子は高校生だった。「窓から手を出して閉じたり開いたりすると、おっぱいの柔らかさを感じられる。」っていう遊びや、流行りの芸人のものまねをみんなでやってひとしきり盛り上がっている間に空港まで到着。



地元の人しか通らないであろう、裏道から送ってもらった。延々と続くまっすぐな道の左右にはサトウキビ畑が広がり、ときおり鼻をつまみたくなる、石垣牛の牛舎もある。そしてその先には青い青い海が広がっている。まっすぐな道フェチの僕にとってはたまらない光景だった。


日焼けがまだ痛い。