2016年1月24日日曜日

ゴールウェイに引っ越しました。「あなたはホームレスですか?」


アイルランド一周旅行から帰ってきてしまったので、また家無し生活が始まった。

1ヶ月以上も、こんな生活が続くと思っていなかったので、
移動ごとにキャリーバッグとバックパックの大きさに泣いている。

今日、僕はダブリンを離れる。

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金曜日の夜はバスがすぐに満員になる。結局1時間ごとに来るはずのバスに2度も乗れず、しかも最後の1時間はバスの待合所からも締め出さてしまった。

疲れ果てて僕は、バス停近くの地面に座り込んだ。

何も考えず、何も感じず。

冷たい地面とチラ見して過ぎ去っていく人たち。

僕は友達から餞別にもらったギネスビールを開けた。
外気のせいでよく冷えている。
ギネスをグラスに注がずに、缶のまま飲むなんて邪道なのは承知だ。
そもそもアイルランドでは公共の場所、野外での飲酒は禁止されている。

法律とか、きまりとか、ルールとか、
そういう「日常」の外に少し身を置くと、
美味しさが増すのはなぜだろうか。

今日、僕はダブリンを離れる。

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「大丈夫か?」
40歳くらいのおじさんが声をかけてくれた。
「銀行の横で暖かいコーヒーとサンドイッチを配っているのは知っているか?」と教えてくれた。ホームレスだと思われている。

次のバスまで時間があったので、ちょっと覗いてくることにした。

教えてもらった場所では、暖をとるための毛布や洋服、コーヒー、サンドイッチなどが配られていた。

僕が後ろからその様子を覗き込んでいると、支援しているボランティアの人から声をかけられた。

「あなたはホームレスですか?」

僕は答えに困った。
「今はホームレスかもしれません。仕事と住む場所を探しています。」

今度はボランティアの人が困った顔をしたので、なんだか申し訳ない気持ちになってその場を去った。

バス停に戻ると程なくゴールウェイ行きのバスが来て、乗り込んでホッとすると意識がなくなるようにすぐに眠りについた。



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幾つかのバス停を経由して、終点のゴールウェイに到着した時はすでに23時を回っていた。

ゴールウェイのバスセンターは24時間開いているようだ。
電光掲示板に3時4時発着の表示がある。

金曜日と土曜日のホステルは高い。
今日はどこかで野宿することを考えていたのだが、
ここはピッタリかもしれない。

外はさすがに寒すぎる。

並んだ椅子の下にスーツケースをしまって、薄いブランケットをかけて、肘掛けが邪魔な長椅子にうまく身体を合わせた。

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意識の遠くから声が聞こえる、

「Excuse me, 君のバスは何時なんだ?」
目を開けるとインド系の警備員が目の前に立っていた。
「さっき、ゴールウェイについたところだ。」と朦朧とした意識の中で答える。

「そうか、残念ながらこのベンチでは寝ることはできないんだよ。」

僕は力なく「OK」とだけ返事をして、荷物をまとめて、少し寒いが窓際のフロアの隅に移動して再び横になった。

ダメ元だったけど、やっぱりダメだった。
さっきの彼がすぐにやってきて

「ここから君は出なければならない」

僕「わかった。どこか、いいところを知っているか?」

「近くにホステルがある」

僕「金がない、公園はあるか?」

「ummm... 公園は寒いし、危険だ。... ちょっとついておいで。」

後を追っていくと、警備員の上司らしき人の部屋だった。
同郷らしく、彼らの言葉でなにやら相談した後、
「今日だけはあのベンチで泊まってもいい」と許可してくれた。

「君たちは僕の命を救ってくれた」
とお礼を言って、無意識に深々とお辞儀をしていた。
こういう日本人の癖はなかなか抜けない。

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朝になるとどんなに疲れていても、自然に目がさめてしまう。
午前7時。変な体勢で寝ていたせいか首を寝違えている。

寒くて何度もブランケットをかけ直しながらだったが、
とりあえず、夜は越せたようだ。

昨日の警備員のおっちゃんがまだいたので、改めてお礼を言うと、

「寝なければ、まだいても大丈夫だよ」と優しく教えてくれた。

「ありがとう、もう行くよ」
バックパックを背負い、朝焼けも迎えない真っ暗なゴールウェイにキャリーバックを転がした。

行き先は決まっていた。
”Kinlay Hostel”ここは Work & Stay をさせてもらえるという話を聞いていた。
仕事が決まるまでは、ホステルで働かせてもらいながら、
無料で泊まれるだけで助かる。

便利な街の中心にあるそのホステルはバスステーションからもすぐだった。
24hのフロントでこれまでの経緯などを話すと親身になって話を聞いてくれて、
明日、早速面接をさせてもらえることになった。

今日はここに泊まろう。一泊22ユーロ。
本当は15:30にチェックインなんだけど、
「キッチンで朝ごはんを食べていいよ。部屋もなるべく早く入れるようにしてあげる。」
と言われて、10時頃にはカードキーを渡してくれた。

朝ごはんもリンゴがあったり、シリアルに豆乳が用意されていたり、大好きなハチミツがトーストにかけられたり、とにかく豪華。

遠慮せずにお腹いっぱい朝食をいただいて、
3日ぶりのシャワーを浴びて、3日ぶりに思いっきり足を伸ばして眠った。

今は、洋楽POPのかかるロビーでこれを書いている。

ゴールウェイでの新しい素敵な生活が始まる予感。