2016年5月27日金曜日

【散文】世界は同時に進んで行く


世界は同時進行

朝はみんなに
やってくる
それも違うタイミングで

なぜだろう
朝起きるといつも
この言葉が頭に浮かぶ

谷川俊太郎さんの有名な詩
「生きる」を思い出し
ぼくにとっての「あなた」とは
誰なのかと考える

ゴールウェイのいつものカフェで
いつものアメリカーノではなく
初めて頼んだカプチーノ
を飲んでいる

「18歳選挙権」と
「イギリス国民投票」の原稿を
同時に進めている

締め切りのプレッシャー
返信を待つ 待つ
もっと知りたい
終わらない好奇心

世界と社会と
どうやってつながっていこうか

見たくないけど
確かにそこにある問題と
どうやってつきあっていこうか

アメリカの大統領として初めて
オバマさんがヒロシマを訪れた


友達が
子育てをしている
熊本にボランティアに行っている
AERAに特集されている
「自分の隠れた性格」を公開している
失恋から立ち直れずにいる
会社をやめる

ぼくは
もうすぐ30歳になる



通りで演奏している
バスカーのピアノ
カフェの心地よいベースの効いたBGM
交互に耳を傾ける

どっちも素敵だけど
同時に楽しむことはできない




羨みたい憧れる人の人生を
ぼくは送ることはできない

ぼくがかれを羨んでいる間に
かれはぼくよりも
もう一歩先に進んでいる

もうずっと先にいるようだけど
かれに会うことができる
同じ時を生きているのだから



パブで声をかけたイタリア人の女の子
ちょっとだけ一緒に踊った

彼女は作家だった
彼女の感じたアイルランド
選んだ言葉

打ち付ける波は断崖を
断崖はパフィンの巣を

降ってはやむ雨は
果てなく続く緑の草原を

近く 遠くに
黒い顔の羊は白く
そこにいる

自然も地理も生き物も気候も
美しく彩られて昇華されていく



同じ場所にいたのに
まったく別のものが写っている
同じ本を読んだのに…



ものすごい勢いで時間がぼくらを
未来へと追いやる
世界を同時に