2016年6月24日金曜日

キャメロン首相は愚かではない。素晴らしい「政治家」だ




イギリスが国民投票でEU離脱を決めた。
日本で多くのメディアが伝えているところは省き、
5つの点について現地で感じたことを書く。

投票率について

投票率は72.2%。近年にはない高い投票率で、総選挙の投票率でいうと、70%を超えるのは1997年以来になる。

街で対面調査を行う中でも、関心の高さを感じたが、この投票率は日本のイメージする投票率とは少しちがう。


日本では有権者は同時に選挙人名簿に自動的に登録されるが、イギリスでは(アメリカなどでも)選挙人名簿に登録しなければならない。この選挙人名簿に登録した人の中で割合が計算される。つまり日本からすると65%ほどの投票率と言える。

EU離脱派はどういう人なのか。

高齢者、低所得者層、低学歴、
郊外に暮らしているという傾向がある。
しかし、それだけで語ることはできない。

ロンドンでの対面調査の中で明らかになったのは
「移民」を心配する声が大きいということ。
EU市民はなんの制限もなく、
誰でもイギリスに住むことができ、仕事もできる、
一定の条件が整えば、社会保障も受けられる。

そういったことから移民が急増、
イギリスの仕事がEU市民(特に東欧)に奪われ、
全体的に賃金が押し下がげられ、
移民が増えたため、通いたい学校に通えず、
病院は患者であふれている。
という状況になってしまっていた。

他にも「EUから主権を取り戻す」という論。
「EUだけでなく世界中と貿易するべき」という人らもいたが、

総じて言えるのは、離脱派は感情が豊かだということ。

「不安や怒りを感じていて、それをどうにかしたい。
(→EUが悪い)」
という強い感情を感じた。

「EU離脱」と言いづらい雰囲気

ロンドンの話だが、Leave(離脱)というステッカーやバッジをつけている人がRemain(残留)と表明している人に対して圧倒的に少ない。

キャンペーンも残留側の方が表立ってよく活動していたのは間違いない。
外から見える限りでは残留が圧倒的なのは明らかだった。

しかし実際はロンドンで残留は60%。

見えなかったのは彼らは、
移民やEUへの不満を口にしたくなかったから。
メディアでも専門家も有名人も、海外からも「残留が適切」という声。
アイルランドでも「同性婚を認めない」と表立って言えないが、
投票では同性婚に反対を投じたという人が一定数いた。

そしてそういう、invisible(見えない)投票者たちの行動が読めず、
賭け屋さえ、予想できなかった結果になったのが、今回の国民投票である。

スコットランドの独立住民投票について



そもそもスコットランドとイングランドでは人口比の違いがあり、
こういったことが長年続いてきた。例えば、1960年来スコットランドは保守党が第一党になったことは一度もないのだが、その間イギリスでは、キャメロンやサッチャーを始め多くの保守党首相が生まれている。


これは沖縄が抱えている問題と似ている。沖縄は自民党を支持していないのに関わらず、日本で選ばれた自民党が沖縄に基地を押し付けているという構図である。



今回の国民投票は「失敗」か?

成功でしょう。やってよかったと言えます。
イギリスでテレビや他で議論が盛んに行われ、高い投票率があり、
その結果に対しての責任をイギリスの人たちはこれから取ろうとしている。

望んだ結果にならなかったとしても、それはイギリス人の選択で、
キャメロン首相はその選択を「尊重する」としている。
彼は民意を問い、そして尊重する素晴らしい「政治家」だ。
日本の「政治家」と称している人、あるいはなろうとしている人は、
彼の姿勢を見習うべきだ。

もう少しロンドンに滞在して、
この国民投票について検証していく。