2016年8月19日金曜日

「なんでこんなところで寝ているんだ」



スーパーの前にいい感じのベンチを見つけて、眠りについた。
ボストンに到着して初めての夜。


突然、肩をゆすられて、
びっくりして飛び起きた。

そこには若者2人がいた。
まだ真夜中である。
何が起きたのかわからない。

若者「なんでこんなところで寝ているんだ」
ぼくより不自由な英語、そしてかなり酔っ払っているようだ。
なかなか聞き取れない。


ぼく「旅してるんだ。イギリスを。」

若者「でも、なんでこんなところで寝ているんだ」

ぼく「ホテルに泊まっても面白くないからさ」

若者「???…ホームレスなのか?」

ぼく「そんな感じだね。」

若者「住む家を探してやる。仕事も探してやるから。
仕事をしなくちゃダメじゃないか。」

ぼく「ありがとう。でも俺は旅してるから、
旅した経験を人に伝えるのが仕事なんだ。」


若者「??でもなんでこんなところに寝ているんだ」


彼らは明らかに、
ベンチで寝ていたぼくのことをバカにしていた。
上から目線であったし、ぼくのことを非難してきた。
でも、ぼくはバカにされていることに気づかないふりをして、
愛嬌よく振る舞った。

自分のライフスタイルを非難してくる人と、
戦う必要はない。彼らは理解していないだけ。
理解できないものは恐ろしいもの。
恐ろしいものはなくしたいものなのだ。

彼らの気持ちは理解できる。


このやりとりが何度か続いたあと、

若者「ビール飲むか?」

と誘ってくれた。
迷ったけど、彼らと飲むことにした。

英語が不自由でかなり酔っ払っているEdgaras.(Ed)
素朴で英語がいくらかしゃべれるLukas.
2人ともリトアニア人だそうだ。


ぼくがリトアニアに原発国民投票の取材に行った時の話などをしながら
24時間営業のスーパーへ。


ビールを選んでいると、
恰幅のいい警備員がやってきて、
ベロベロに酔っ払ったEdを見て、

「君にはアルコールは売れない」と。

するとEdは
「Change your eyes (あなたの目、取り替えたほうがいいよ)」と返し、
そのまま警備員に連れて行かれた。

残されたらぼくとLukasは彼の分のビールも買い、
スーパーの前で待ち合わせた。

Coronaビールがお気に入りのようだ。

Edは怒っていた。
「酔っ払ってないのに!」店の外にあった
カートを蹴り飛ばす。

ぼくは驚いて、
「いや、明らかに君は酔っ払ってるし、
カートは何も悪くないと思うけど」
と笑いながら言った。

Edは「それもそうだ」と
その時は怒りを鎮めたかに見えたが、

少し歩き出すと、
今度は外で飲んでいた別のグループが絡んできて、
罵声をかけあっている。

虚勢を張る。
これが彼らの日常なんだ。

19歳。
働くために母国リトアニアから
イギリスのここボストンへ。


Lukasの付き合い始めたばかりの彼女もやってきて、
ベンチに座って4人で飲み始めた。


Coronaビールが彼らのお気に入り

そして近くにあったショッピングカートで遊び出す






ぼくも入れてもらった。


イギリスにはいたるところに監視カメラが、設置されていることで有名ですが、ぼくらの様子も監視されていたらしく、いきなり警察がやってきて、「ビールを捨てろ」「身分証明書を出せ。」と迫ってきました。イギリスでは公共の場所での飲酒は禁止されている。公園でもどこでも、飲んでいる人がたくさんいるのだが、法律的には500ポンド以下の罰金になる。

一通り、ぼくらのIDを調べた後で「ゴミはきちんと片付けていってね」と周りに飲み終わって、投げ捨てられ割れて散らばった瓶の残骸を横目に見ながら去って行った。



明け方、農場や食品加工場に向かうバスに乗り込む労働者たち。やはり東欧系の人たちが目立つ。LukasとEdも普段はこのバスに乗って、仕事に行くのだそうな。食品加工場は夜中も稼働している。この朝のバスで自宅に帰ってくる人もいる。

Lukasたちは明るくなってきたところで帰っていった。
ぼくはベンチに残された、飲みかけのビールや空き缶などをまとめて捨てて、
元いたベンチに戻ってもう一眠りした。