2016年11月17日木曜日

イギリス国民投票対面アンケートと考察



投票日を挟んで約一か月にかけてイギリス、ロンドンを中心にカンタベリー、オックスフォード、ボストン、スコットランドのグラスゴー、エディンバラで対面アンケートを実施し、69人から回答を得た。

設問は5つ。
1今回のイギリスのEU離脱を問う国民投票に同意しますか?


同意する 47人(68%)
Public wanted one, 多くの人が実施したがっているから
We should decide. 私たちは決めなければならないから
I don't want to do, but people want. 私はやりたくないが、みんなはやりたがっているから。

同意しない 22人(32%)
キャメロン首相がやりたかっただけ、国民が望んでいたわけではない。
 David Cameron used the referendum for the election the conservative party.

同意しないと答えた人は全員EU残留に投票する予定、もしくは投票した人であった。等しく「私たちは国民投票を望んでいなかった」と答えており、国民投票を望んでいない残留派も多かった。しかし離脱を臨む声もすでに14年に行われたEU議会選挙ではEU離脱を唱えたイギリス独立党が第一党になっており、選挙公約で「もし過半数を獲得したらEU離脱の国民投票を行う」と公約した保守党が勝利している。選挙は2015年だが、EU国民投票の公約は2013年1月にすでに発表されているその当時から、世論調査ではEUを離脱したいという国民が残留派を凌ぐほど多くいたことも明らかである。


2今回の国民投票は、残留派、離脱派にとって公平に行われたと思いますか?
公平だった 41人(63%)
Everyone had a voice free to vote. みんなが声を上げることができるし、投票もできる。

不公平だった 24人(37%)
Media biased toward the government. メディアは政府にひいきしていた。
Leave campaign was misinformed. 離脱派は嘘の情報を流していた。
The government spent a lot of money for leaflets. 政府はたくさんのお金を使ってリーフレットを作った。

41人は公平だったと答えたが、不公平と答えた人も24人いた。
理由は、聞けば納得のいくものばかりだった。
例えばBBCは過激派に殺害された労働党議員ジョーコックスの特集の後に国民投票のニュースを持ってきたり、コメントもEU残留側に傾いていたというのは当たっていると思う。しかし私はそもそもメディアに公平性を期待などしていない。メディアにはメディアの言いたいことがあるだろうし、それぞれの情報媒体の特徴を考慮した上で個々人で判断すべきだと考える。むしろどのメディアでも言っていることが全く同じということの方が問題である。

また離脱派の「EUを離脱すれば一週間で3億5000万£を浮かせられるので、国民皆保険(NHS)につぎ込むことができる。」というのは主要なキャンペーンのひとつであった。離脱が決まったが、実現は不可能だということがわかった。またキャメロン首相も残留キャンペーンで「移民の数を10人以内に抑える」と公言したが、実際には移民の純増数が30万人を超えるというデータが出た。自分たちに都合がいい話が積み重ねられるのは常。また政府が製作したリーフレットをイギリス2700万軒に配布することに930万£(約12億円)も予算をかけられていることにも批判があがっているのにも納得できる。

3投票しようと思った一番の理由はなんですか?
・I believe UK is better in the EU. イギリスはEUに止まった方がいいと思う。
・I really like the rights the EU gave to people such as workers rights etc..
私は、EUが労働者に与えた権利などが気に入っているから。
・Immigration. 移民
・I want to change country. 国をどうにか変えたい。
・Because of Democracy. 民主主義だから。

4どの情報が、あなたの決定に影響を及ぼしましたか?(3つまで)

最も影響を受けたと答えたのはインターネットの情報。
続いて、テレビのニュース、テレビ討論、新聞や雑誌、家族や友人などとの会話と続く。
これら上位の結果はある程度、予想していた通りであった。
しかし、驚いたのは「その他」と答えた16人のうち、
"my own opinion.""my experience."など、
わざわざ「その他」を選び「自分で決めた」とする人が9人(13%)もいたということ。
これは何にも影響を受けていない、もしくは受けたくないというイギリス人の強いプライドを感じた。離脱派のジョンソン氏が公開討論会の最後を締めた「主導権を取り戻そう」というキャンペーンはイギリス人の心に響いたのではないかと思う。道ゆく人に話をEU委員会(ブリュッセル)に主権の一部を握られているというのはイギリス人にとって、鼻持ちならないという様子の人は少なくなかった。

5もし差し支えなければ、どちらに投票するか、教えてください。

ロンドンでのアンケートが多かったので、全体として残留派が多く出た。しかし、やはり田舎も回って話を聞いた印象はやはり、離脱に投じた人が多かった。
また、残留に投じた人のうち、約2/3が今回の国民投票自体に合意できないとしていることも気になる。それらの納得できない人たちが、7月2日に大規模なデモを起こしている。
http://www.oshibakentaro.com/2016/07/march-for-europe-eu.html


_______________

投票日前はロンドンにずっと滞在していたので、まさか「離脱」が勝つとは思っていなかった。しかし、田舎に行けば急激に増える移民に苦慮している人たちの話も聞く。例えば「移民の人にガラスを割られた。移民に対しての暴力や差別はニュースにされるけど、移民によるイギリス人への事件などはあまり報道されない。これはおかしい。」など。働くためにやってきた移民が飲んで暴れる。ゴミを置いていく。そこら中で小便をする。イギリス人の若者も、似たようなものではないかと思うのだが、移民だと思うと恐れてしまうという心理もわからなくもない。

アンケートで明らかになったのはあとはテレビ討論の重要性。どれだけの説得力をもって、論理を展開できるか、直接判断できるのが大きい。例えばイギリスBBCは"Great Debate"と称してウェンブリースタジアムに残留派、離脱派の両派を3000人ずつ無料で観客を招待し、残留派、離脱派3名ずつの討論会を開催し、それを生放送で報じ、大きく注目された。